南さつま 相続・遺言相談室

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内縁の妻に遺言書を作成したのですが妻が先に亡くなったらどうなるのですか

 結論から言いますと、その遺言は無効になります。(民法994条①項)

 内縁の妻は、この場合、受遺者と言います。受遺者である内縁の妻が遺言者(内縁関係の夫)の死亡以前に死亡した場合、その遺言書は無効となります。例え、内縁の妻に前婚時代の子供がいたとしても、その子らは母に代わることはできません。

 遺言が無効となるのですから、遺言は初めからな無かった事になります。では、どうなるかと言うと、遺言者に前婚時代の子供がいれば、本来の法定相続関係に立ち戻って、法定相続分に応じて配分される事になるのです。これは、思わぬ落とし穴です。私も、実際、このようなケースを知る機会がありました。遺言者にして見れば、想定外の事になるのです。

 やはり、もしもの時を想定して予備的遺言をして置くべきですね。例えば、「仮に、内縁の妻が私よりも先に死亡したならば、〇〇に遺贈する。」との文言を追加して置けば良いと思います。

 

 ついでに、お話しておきます。この内縁関係の夫婦が、飛行機事故や自動車事故、その地震や水害などの災害に遭遇して、二人とも死亡した場合で、その死亡の前後が不明の時は、同時に死亡したとみなされます。(民法32条の2) これを同時死亡の推定と言います。この内縁関係の二人の間には、遺贈の効果が発生しません。よって、前段でお話したと同じように、その遺言は無効となります。これも、想定外になりますね。従いまして、予備的遺言は重要と言えると思います。

 

以下には、民法 - e-Gov法令検索から、関連条文を引用します。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

(受遺者の死亡による遺贈の失効)

第九百九十四条 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。

2 停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

第六節 同時死亡の推定

第三十二条の二 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

 

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